INTERVIEW お客様の声

清水建設株式会社

NOVARE
DXエバンジェリスト 及川 洋光氏
コンダクター 濱田 淳司氏

「NOVARE」が描く未来と共創の価値。

清水建設は、2030年を見据えた長期ビジョン「SHIMZ VISION 2030」を掲げ、建設事業の枠を超えた自己変革や挑戦、多様なパートナーとの共創を通じて、新たな価値を創造する「スマートイノベーションカンパニー」への進化を目指しています。その実現に向けた拠点として、2023年9月に「温故創新の森 NOVARE」がオープンしました。敷地面積約3万2200平方メートルの広大な土地には、情報発信や交流の場、最先端技術の研究所、体験型研修施設、歴史資料館など、多彩な機能が揃っています。それらが自立しながらも連携し合い、事業構造・技術・人財のイノベーション推進、そして社会とのコミュニケーションを生み出しています。

「NOVARE」は、“生き物”のような施設と言えるかもしれません。日々、成長と進化を続けるために、さまざまなプロジェクトが生まれ、動いています。パートナー選定で最も重視するポイントは、「NOVARE」や社会の未来を一緒に想像し、楽しみながら形にしてくれるかどうか。単なる技術の提供や、利益の追求が目的のビジネスパートナーではなく、共に挑戦してくれる共創パートナーを求めています。そうした私たちの想いに共感し、スピーディかつ具体的な形で応えてくれているのがテクノブレイブ社です。

複数の企業が入り組んだプロジェクトの推進。

これまでテクノブレイブ社に携わっていただいた案件のひとつに、デジタルツイン※1のプロジェクトがあります。このプロジェクトは、オンプレミス※2環境で動作していたアプリケーションをクラウド環境に移行し、さらに清水建設が独自に開発した、建物内のあらゆるシステムを統合する建物OS「DX-Core」とリアルタイムで連動する仕組みを構築するものでした。

テクノブレイブ社はクラウド技術に強みを持ち、別のプロジェクトで「DX-Core」に関わっていただいた実績もあったため、まさに適任でした。この取り組みでは、複数の企業が連携し、それぞれの強みを活かしていくこと、そしてアジャイル型の開発手法を採用し、新しい技術を試しながら柔軟に進めることがポイントでした。アプリケーション開発やセンシング、デザインなどに特化したさまざまな企業が参加する中、テクノブレイブ社にはクラウドやインフラの技術力を発揮するだけでなく、プロジェクトマネージャーとして全体を取りまとめる役割も担ってもらいました。各社の強みや特徴、想いを丁寧に汲み取り、全体を推進していただいた結果、スムーズかつ効果的なシステム移行と「DX-Core」との連携が実現できたと感じています。

私たちがテクノブレイブ社に信頼を寄せている理由は、高い技術力やプロジェクト推進力だけではありません。一緒にわくわくしながら、楽しんで取り組んでくれるスタンスが、何よりも魅力だと思っています。「これをやってほしい」という要望に応えるだけでなく、「これをやりたい」「一緒にやりませんか?」と積極的に提案してくれる。そのおかげで、私たちの発想にはなかった新しいアイデアやソリューションが生まれることもしばしばあります。この姿勢こそが、私たちが継続してプロジェクトをお願いしている大きな理由の一つです。

※1現実空間の物体や状況を仮想空間に再現する技術
※2自社内でサーバーやソフトウェアなどの情報システムを管理・運用するシステムの利用形態

未来を共に描く、共創パートナーとして。

街全体でエネルギーを融通してゼロ・エネルギーを目指す〈ZES(ネット・ゼロ・エネルギー・ソサイエティ)〉構想や、フロアのどこにいても一人ひとりの好みに合わせた温度と快適さを届ける〈超個別空調システム〉など…、「NOVARE」では多彩なプロジェクトが展開されています。そして、それぞれの取り組みの根底には、必ずストーリーが存在します。

例えば、テクノブレイブ社にバックエンド領域で多大なご協力をいただいた、〈植物と対話できるシステム〉の開発プロジェクト。「NOVARE」では多くの観葉植物が育てられていますが、ある企業から「ロボットで自動的に水やりをする仕組みを導入してはどうか」という提案をいただきました。一見、利便性の高そうなアイデアですが、「それで植物を本当に大切にしていると言えるだろうか」と感じたのです。そこで考案したのが、植物に水分センサーを取り付け、水が必要になったタイミングでスマートフォンに通知を送る仕組みです。「乾いてきたので水をください」と植物からメッセージが届いたら、自ら水を持って植物に手をかけたくなりませんか。さらに、植物が発電したエネルギーで水分センサーや通知用の無線機を動かすことで、より植物が“自立”しているように感じられるでしょう。その結果、自然を大切にする心が人々の中に育まれるのではないかと考えました。「NOVARE」が目指すのは、こうした〈意味性〉のある豊かなストーリーに溢れた未来です。「気づけば環境意識が自然と高まる空間」や「人と自然が共に歩む社会」が実現できるなら、それはとても意義深いことだと思うのです。

このプロジェクトにおいても、テクノブレイブ社には技術的な支援だけでなく、「どうすれば実現可能なのか」「もっと良いゴールはないのか」と、膝を突き合わせた議論を重ねていただきました。「NOVARE」というプラットフォームを通じて、どんな未来を描いていけるか――。これからも共に知恵を出し合い、形にしていく共創パートナーであり続けてくだされば、とても心強いと思っています。